不器用でいいのさ 本当のかお見せて、もっと

こんばんは。日曜日更新担当のhachiです。

突然ですが来月引っ越すことになり、ここ休日はずっと不動産屋さんめぐりでした。
探す気のないsuumoサーフィンは楽しいですが、腰を据えて物件を探すとなると、
これがまぁくたびれる。やっと引っ越し先も目途がたち、ほっと一息つきながら、記事を書きます。

今週のテーマは「ぼくらの就活」。

今この年になって、あの頃の就活や、あの頃の自分を見つめなおすと、
感じること、思うことがたくさんあります。大変だったなぁ、って辛かったよなぁって。
震災もあり、景気の影響もあり、最も就活戦線で苦戦した世代でもある私たち。
「大変だったね」「なかなか内定とるの難しかったんでしょう」おとな達から
そんな言葉をかけられつつ。ただ、私はきっと景気わっしょい状態な日本であっても、
きっと私は苦戦したんだろうな、なかなか進まなかっただろうなと
思います。あのときの私はまだ気づけなかったことがあったから。最近それに気づけたように思います。

就活中の私と、社会人5年目の私。
最近の気づきのおかげで、私はこの問いを違う視点から見つめられるようになりました。

「なぜスーツで就活しないとだめなのか」

これに似た言葉で色々就活中に聞かれた言葉がありますよね。
内定者の立場でもたくさん後輩から投げかけられた言葉。
「女の子はスカート履かないと内定出にくいんですかね?」
「クリアファイルにいれて履歴書を送らなかったんですけど大丈夫ですか?」
「秘書検定か簿記もってたほうがいいんですかね」などなど。

就活中って、なぞの都市伝説というか、七不思議というか、ああいうのが出回るのでしょうね。
本当に就活中の私も振り回されたし、ちまちまと気にしていました。
パンツ1本で就活をしていたので、スカートのほうがいいのかなぁとか、色々悩みました。
ほかにも、履歴書に修正テープしていいのかな、とか。
iphoneケースは当たり障りのない地味なものに替えてみたりとか。

「なぜスーツで就活しないとだめなのか」という疑問について、当時はわかりませんでした。
「個性が出せない」とかそういう言葉に「たしかにね」って思ったり、
黒髪でいなきゃいけない理由を心の中で問うたりとか。

でも最近それって違うなって思います。金融業界で働き、
そして今クリエイティブ職で働き、そこで気づけたこと。
それは、そもそも考えなければいけないのは「なぜスーツで就活しないとだめなのか」ではなく、
「なぜその会社がスーツを着るように言っているのか」なのだということです。

たとえば金融業界は言わずもがなでスーツ面接で、写真もパリッと爽やかで明るい印象、
とにかく誤解を恐れずにいうのであれば「無難」なビジュアルであることが大事。

それはなぜかというと、その業界が「個性」ではなく
「秩序・ルール・普遍性」を重視しているから。

金融業界は厳しいルール、知識のうえで成り立っています。そうでなければ社会が乱れてしまうから。

金融業界にが秩序・ルールに従える、でもそのなかできちんと自分をだせるひとが求めらる。
金融業界はその人自身を「服装」ではなく、「言葉・しゃべり・知識」で見たいと思っている、
見なければいけない。服装で個性を出されてしまうと、本当に見なきゃいけない部分がかき消されてしまう。

面接は「私服」で着てください。の会社が見たいのは感性、そのひとのセンス。
ノックの回数、おじぎのタイミング、完成された敬語じゃないのです。

父親は私が深夜まで出版社の手書きのエントリーシートに
苦戦しているところを見て、さらりと言いました。

「修正テープ、書き直し、直筆を重んじない業界は何度訂正したものでも、
書き直したものでも出しなさい、
金融のように書き直し書類を不備とし、直筆を重んじる業界には書き損じなしの
完璧なものを出しなさい」

そのエントリーシートで、出版社がみたいのは私の頭の中なわけで、
修正テープのない完璧な書類なわけではないのです。中身がおもしろければ、指定のない限り手書きだって、
wordだって、おもしろければそれでいい。

綺麗に修正加工された証明写真も、無精ヒゲも、茶髪も、簿記の資格も、
パンツスーツも、ブルーのネクタイも。だめな理由、だめじゃない理由は、
どこの会社に入りたいか、どうみてほしいか、どこで自分をだすべきなのかで決まるのかなと
最近思うようになりました。

昨今の就活生はどんなことを考えているのでしょう。
最近の私が気づいたこういうことに、最近の大学生はとっくに気づいているのかな、勘が鋭いのかな。
私はすごく時間がかかりました。社会人になってからじゃないとわからなかった。

海外への留学も、バックパッカーも、ボランティアも、就職に有利そうな資格の取得も、
バイトリーダーになることも、
部活に入ることも、専門学校にいくことも、大学院へ進むことも、OB訪問も
なにひとつしなかった就活戦線でまったく内定がでず、
やる気もでず、瀕死状態だった私が最近気づいた、こういうこと。

私の趣味でこつこつと作っていた趣味のコラージュ作品は、
一社目の金融業界ではなんの武器にもならなかったけれど、
私がとったFPや簿記の資格は、雑誌編集の会社ではなんの興味ももたれなかったけれど、
でもそのどこかで役に立たなかったものたちが、別のどこかできちんと評価され、
私の就職や転職を助けてくれました。

武器は、使うべきところで使って、はじめて武器になります。
武器はもちろん多いほうがいい。そのほうが戦える場所が広がるから。
でも、使う場所を吟味することは必須なのです。

私が武器だと思っていなかったものが、ある戦場で立派な武器になり、私の道を切り開いてくれました。
みんなの武器はなんですか。武器を武器とできる場所はどこですか。

そのためにあなたはどういうあなたを、どのように見せますか。

タイトルは阿部真央の「モットー。」です。
自分は自分でいなきゃいけないのに、自分でいられなくなっちゃう就活時期に、私を助けてくれた歌です。

「比べたがり屋の世間に疲れたら またおいで
きみが本当になりたいのは君以外の誰だっていうの?

生きているだけで誰も素晴らしいのに、その色眼鏡が自分自身を苦しめている
背伸びして作ったって、それは君じゃないから」

「素直でいいじゃない 本当の顔みせて、もっと」