好きな人の好きなもの

ファッションの軸、というのは自分の中にあまりなくて、あえて言うなら「好きな人の好きなファッション」かもしれない。「こういうもの着てほしいな」と言われれば、「はいはい」と買いに行く。なんていうスイーツ。もちろんあまりに自分らしくないものを身につけることはないけれど、シンプルであればわりとどんなものでも好き。傾向としては黒いものが増えがち。

好きな人に合わせることの一番のメリットは、これまでの自分にはまったく縁のなかった領域に足を踏み入れることができること。これはファッションにかぎらず、聴く音楽とか、食べるものとか、休日の趣味とかもかな。少しずつ自分の変化を感じられるのが面白いから、これまでの価値観にこだわりすぎず、いつも柔軟であろうと思っている。食わず嫌いは悪とみなし、まずはなんでも挑戦してみる。結果、合わなければそれまでだし、合うものはこれ幸いと積極的に取り入れてみる。

最近、スニーカーを買った。きっと、今の彼氏に出会って一緒に自転車に乗るようなことがなければ、私は一生スニーカーを買わなかったんじゃないかな、と思う。ヒールが低めのパンプスとサンダルさえあれば日常生活で困ることはなかったし、スニーカーは自分に似合わないと思っていた。

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私は足が大きくてぴったりくる靴がとても少ないから、靴にはあまりこだわりがなく、とにかく入ればいいやと思いながら買っていた。靴選びの基準をあえて探すとしたら、その時付き合っている人の身長とか。ぺたんこ靴ばかり履いていた時期もあったし、泣きそうなぐらい高さのあるヒールに振り回されていたこともあった。

今は、これまで靴屋さんで見向きもしなかったスニーカーが愛おしくてしょうがない。どちらにするかすごく悩んで、「どっちがいいかな?」なんて写メを送って、結局両方買ってしまった。なんだかこれまで履いていた靴とは違って、玄関先で足を入れる度にじんわりと幸せを感じてしまう。このスニーカーで、自転車に乗って二人でどこまで行けるかな、なんて夢想する。大事に大事に履きたい靴を、初めて手に入れたのかもしれない。