宴と日本酒

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火曜日に書ききれず木曜日になってしまいました、ごめんなさい。
GOOD AT TOKYO OPENING PARTYに向けて、日本酒を準備しました。
あれもこれも並べたい気持ちをぐぐっと抑えて、大好きな日本酒たちの中から3本を厳選。断腸の思い……。

写真左から、

  • 笑四季モンスーン 山田錦 火入れ
  • 川鶴 純米大吟醸 袋しぼり中垂れ 無濾過生原酒
  • 亀泉CEL-24 純米吟醸生原酒

でございます。
日本酒が好きな方はもちろん、あまり飲んだことがない方や苦手な方でも飲みやすいように甘めの銘柄を選んでみました。

ワインのようなラベルが可愛い笑四季モンスーンは、貴醸酒と呼ばれる日本酒。日本酒作りの過程で仕込み水の一部をお酒に変えることにより、とても甘口に仕上がります。味わいは、日本酒というよりデザートワインに似ているかもしれません。

亀泉CEL-24は、初めて私がしっかりと名前を覚えた日本酒。甘みと酸味がほどよいバランスで、ふわりといい香り。一番好きな日本酒は?と聞かれたら、いつもこれを答えるぐらい溺愛していて、冷蔵庫に3本ぐらい常備していたこともあります。

川鶴は、先月池袋で開催された酒ふくろう祭という飲み歩きイベントでその美味しさに感動した日本酒。バナナのような深い甘みにびっくり。つまみがなくてもお酒だけで楽しめてしまうぐらいインパクトのある味わいです。

日本酒は18:30から提供開始予定ですので、ぜひぜひお越しください。
日本酒トークもしましょう。私は日本酒大好きですが知識が豊富なわけではないので、おすすめの日本酒など教えてください!
皆様にお会いできるのを楽しみにしています!


本と生きる

小さな頃から、本を読むことは呼吸をすることに似ていた。2歳の時から本が好きだったよ、と母は言う。小学生の頃は学校の図書室に通い詰めた。『本当にあったこわい話』シリーズ、『ズッコケ三人組』シリーズ、『なん者ひなた丸』シリーズ、『わかったさんの○○』シリーズとか好きだったな、懐かしい。

小学校高学年になって母親に勧められた赤川次郎を読んでからは、ミステリにずぶずぶとはまっていく。休日は父親に連れられてブックオフの文庫本100円コーナーをうろうろしたり。近所の図書館では、あ行の作家からひたすら読み進めていった。愛川晶、赤川次郎、阿刀田高、姉小路祐、我孫子武丸、有栖川有栖、綾辻行人、泡坂妻夫…と「あ」から始まる作家だけでも面白いミステリを書く方が大勢いた。

作家には、小学5年生ぐらいの時からなりたいと思っていた。同じ頃、自作小説を公開するホームページをGaiaXのサービスで作成し、少ししてからジオシティーズに移転した。あの頃の記憶はやたら甘酸っぱい。たくさん片想いをして、身体の中でぐるぐると渦巻く気持ちをWin98搭載の菓子箱みたいなノートパソコンにぶつけた。飽き性なのでなかなか長編がかけず、短編恋愛小説ばかりをコンテストに投稿したりしていた。鳴かず飛ばずだったけれど。

あの頃の読書体験は、もう戻ってはこない特別なものだ。最近の私は冒険をしない。本は借りるのではなく買うものになり、よく知らない作家の小説を手当たり次第に読んでいくようなことはしなくなった。はずれを引いた時のお金と時間が惜しいから、大好きな作家の新作だけを手に取る。京極夏彦、吉田修一、本多孝好、中村航、山田詠美、三浦しをん、有川浩、島本理生、辻村深月、村山由佳など。切ない恋愛ものがたまらなく好き。

小説以外の本は、あまりジャンルを絞らず読もうと心がけている。不思議なもので、一見まったく共通点のなさそうな本を続けて読んだ時に同じトピックが取り上げられたりすることがあったりして、そういう時はぞぞぞ…!と興奮する。乱読、多読にはkindleが便利。何冊か同時並行で読むことが多いのだけれど、そんな時にも荷物がかさばらない。

今年の7月から8月にかけては、夏の読書週間と題して久しぶりに本を読みふけっていた。その時に読んで面白かった本をいくつか挙げてみようと思う。

日本人へ リーダー篇 (文春新書) 日本人へ―リーダー篇 塩野七生

塩野七生さんは、知識人、と呼ぶのがぴったりの素敵な女性で憧れる。古代ローマの頃から人間って変わらないのね、と不思議な気持ちに。

MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体MEDIA MAKERS―社会が動く「影響力」の正体 田端信太郎

メディアの作り手が考えなければならないことが、説得力に溢れた文章で記されている。これまで多数のメディアに関わってこられたからこそ書ける、大変刺激に満ちた本。田端信太郎さんの書かれていることを自分でも試してみようと、読後にブログを新しく立ち上げてしまった。

ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)ぼくらの頭脳の鍛え方 立花隆・佐藤優

高校生の頃から立花さんにずっと憧れている。この二人の読書量と記憶力、そして会話の中で最適な記憶を取り出してみせる様子は人間技とは思えない。向上心を刺激される、濃厚な対談。

民族という名の宗教―人をまとめる原理・排除する原理 (岩波新書) 民族という名の宗教―人をまとめる原理・排除する原理 なだいなだ

「民族」とは何か、なんて考えてみたこともなかった。1冊に渡る深い思考実験を通して、考えることの面白さを教えてくれる。小難しい話を対話形式で非常に平易に書いているので、文章の勉強にもなる。

彼女たちの売春(ワリキリ) 社会からの斥力、出会い系の引力 彼女たちの売春 荻上チキ

昔『ウェブ炎上』を読んでから好きになった荻上チキさんの著作を、Kindleで購入。「ワリキリ」が日常と化している女性たちへのインタビューは、一つひとつが生々しい。「ワリキリ」を始めた理由も抜けられない理由も、当事者個人の問題のみならず、貧困といった社会問題と深く結びついていることがよくわかる。

黒田如水 (角川文庫)黒田如水 吉川英治

Kindleで0円だったのでダウンロードしてみた。9年ぶりに読んだ吉川英治さんの著作は、変わらず激しく、人を熱くさせる。泣いたよ泣いた。これを読んで黒田官兵衛を好きにならない人はいないと思う。

夏への扉 (ハヤカワ文庫SF) 夏への扉 ロバート・A.ハインライン/福島 正実

こちらもKindleで購入。いたるところに張り巡らされた伏線が鮮やかに回収されていくSFミステリ。読み終わるのが惜しかった。まだ読んでいない人が羨ましいぐらい。1956年に書かれた小説らしいのだけど、名作と呼ばれるものって何十年経っても色褪せないのね、と惚れ惚れする。

夏に読んだおすすめ本の紹介は以上。

2009年からはずっと、読んだ本はブクログに登録している。ここからは、ブクログで★5をつけている本をぺこぺこと並べて、この記事を終わりにしようと思う。

童話物語 童話物語 向山貴彦・宮山 香里

とても切ないファンタジー大作。そして、最高のツンデレ小説。小学生の頃に出会って、何度も何度も読んだ。きっと今読んでも泣いてしまうと思う。思い出すだけで胸が苦しくなる。

薄紅天女 薄紅天女 荻原規子

荻原規子さんの勾玉三部作の中では、薄紅天女が一番好き。阿高に心を奪われてしまった。小学校から帰ってくると、お気に入りのシーンを開いてよく音読していた。昔使っていた「鈴」というハンドルネームの拝借元もここ。荻原さんが書く恋愛はたまらなく甘酸っぱい。

絶対、最強の恋のうた (小学館文庫)絶対、最強の恋のうた 中村航

中村航さんは、何気ない会話を書くのが上手。恋人たちって四六時中甘い言葉をささやき合ってるわけではなくて、くだらないことを言い合って笑っていることの方が多いよね、確かに。そういった部分の書き方がとてもリアル。

屍鬼〈1〉 (新潮文庫)屍鬼 小野不由美

中学の時の読書感想文はこれだった。アニメ化もしたミステリで、文庫は1巻から5巻まである。私は夏野というお兄さんが大好きで大好きで、夏野が登場するところばかり繰り返し読んだ。シリアスで読み進めるにつれて逃げ場のなくなるような小説。絶望に包まれていく様子がなんだか逆に清々しい。

MISSING (双葉文庫)MISSING 本多孝好

ひんやり切ない恋愛の短編集。本多孝好さんは長編より短編の方が好きかも。もっと読みたい、という時に終わってしまうから、いつも名残惜しいような気持ちで本を閉じる。

子どもたちは夜と遊ぶ (下) (講談社文庫)子どもたちは夜と遊ぶ 辻村深月

辻村深月さんの著作で一番好きなのはこれ。上下巻。どろどろと重くて悲しくて、それでもページをめくる手が止まらない。辻村さんらしい、読者を翻弄するトリック。淡い恋。結末を知った上で、もう一度読みたくなる。

キズナのマーケティング ソーシャルメディアが切り拓くマーケティング新時代 (アスキー新書)キズナのマーケティング 池田紀行

もう、少し古い本になってしまったけれど、ソーシャルマーケティングが従来のマーケティングとどのように違うのかということに関する知見をたくさん与えてくれた良書。手元に置いておきたい。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書) ウェブ進化論 梅田望夫

oichiくんも挙げていた本。大学の卒業論文の参考文献として読んだ。出版されて5年後に出会ったのだけれど、書かれていることはまったく色褪せていなかった。梅田望夫さんの先見性に驚く。

ウェブ時代をゆく ─いかに働き、いかに学ぶか (ちくま新書)ウェブ時代をゆく 梅田望夫

ウェブ進化論が面白かったのでこちらも読んでみた。自分の進路に大きな影響を与えてくれた。梅田さんのおかげでITへの愛が増したのは間違いない。

ジンメル・つながりの哲学 (NHKブックス)ジンメル・つながりの哲学 菅野仁

社会は人々の相互作用からなる、と論じた社会学者ジンメルの思想をわかりやすく解説した本。ただの入門書ではなく、菅野仁さんの誠実さが文章の端々に表れ、読み物として面白い。具体例も豊富で理解しやすかった。twitterに感想を書いたら、菅野さんから直接リプライをいただけて嬉しかった、という思い出もある本。

自我の起原―愛とエゴイズムの動物社会学 (岩波現代文庫) 自我の起原―愛とエゴイズムの動物社会学 真木悠介

結局自分って、人間の種としての本能に操られているだけなんじゃないかとうじうじ悩んでいた大学生の私に、真木悠介さんなりの見方で解答を与えてくれた本。自分のちっぽけな悩みなんて、大抵誰かがすでに解決してくれているのだな、と安心した。様々な生物の生態を参考にしながら、「種全体を守るために自分の命を犠牲にできるか」など、「利己」「利他」を考察している。

ランプコントロール (中公文庫) ランプコントロール 大崎善生

大崎善生さんらしい骨太な恋愛小説。感情がぐるぐるとかき回され、寝るのも忘れて読みふけった。その頃私が直面していた「別れ」と、しっかり向き合うきっかけを与えてくれた本。海外で過ごす休日のなんでもないようなシーンが美しくてずっと印象に残っている。

アンダスタンド・メイビー(下) (中公文庫) アンダースタンド・メイビー 島本理生

上下巻を通して、主人公のくろえと共に何年も過ごした。島本理生さんは共感を呼ぶのが上手だと思う。私の年齢がそこそこ近いからかな?昔の恋愛を思い出して、苦しくなってしまった。

他にも紹介したい本はたくさんあるのだけど、きりがないのでここでおしまい。興味が似通っている方はぜひブクログでお友達になっていただけると嬉しいです。
しおりのほんだな/booklog


愛する麺たち

麺の話をしていると、「一番好きなお店はどこ?」みたいな展開になることが多々ある。私の場合、つけ麺は即答なのだけれど、らーめんで一番を選ぶとなると難しい。「その時の気分によって食べたいらーめんの味が違うからなあ、一つだけ選ぶのは難しいなあむにゃむにゃ」などと、なんとも歯切れの悪い答えを返している。

それでも、「こういう麺が食べたい日は、やっぱりここだなあ」というお店はある。今週のお題は「東京のおすすめ飲食店TOP5」なので、シーン別に一番おすすめの麺をつらつら書いてみようと思う。

つけ麺を食べたい時

◆麺屋武蔵 鷹虎@高田馬場

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つけ麺はもう、鷹虎一択。大学時代、麺が好きになるきっかけとなったお店。魚介豚骨には食傷気味になりつつあるが、鷹虎の魚介豚骨だけは何年食べ続けても飽きない。むしろ、愛情が増していく。豚骨のインパクトが際立っていて、非常に濃厚なつけ汁。このつけ汁とほろほろに崩れたチャーシューが、太麺にどろりと絡む。一口味わうと、器ごと抱きしめたくなる。

季節の限定麺も好きなんだけど、この季節が終わるともう食べられなくなってしまうのか、と悲しくなってしまうのであまり食べない。並盛はわりと少なめで食べ終わった後に欲求不満になってしまうので、中盛以上が良い。今年も年末の〆麺は鷹虎がいいなあ。

豚骨を食べたい時

◆濃菜麺 井の庄@練馬

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らーめんは、白米に合うものが大好き。れんげに少しごはんをとって、スープの中に浸していただく。れんげの上の即席雑炊。白米に合う、と言えば豚骨スープかな。濃菜麺 井の庄はこってり豚骨醤油に、タンメンのごとく野菜がたっぷりと入っている。健康と不健康の狭間でゆらゆら。

キャベツ、もやし、背脂、たれなどが混ぜこぜになった「ジロベジ」なるトッピングも一緒に注文するのがおすすめ。これまたこってりとしたトッピングなのだけれど、ごはんに乗せたりらーめんに乗せたりして食べるととても美味しい。カレベジ(カレー味)、スッパベジ(パクチー入りでアジアンテイスト)など、種類も色々ある。

ちなみに豚骨100%のスープだったら、中野にある豚野郎がお気に入り。

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一日限定100杯。博多で食べたらーめんのように、ガツンと遠慮なく鼻に届く豚骨の香り。麺を味わいつくしたら、白米、ねぎ、のり、チャーシュー、ごまを入れて雑炊にする。気づけば器の中は空っぽ、スープも残らない。このスープがおそろしく濃厚であるため、細麺だからと甘く見ているとおなかの張り具合がとんでもないことになる。お昼に食べると次の日の朝までごはんがいらないぐらい。

家系を食べたい時

◆吉村家@横浜

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家系も、白米にぴったり。色んなお店を回ったけれど、結局は吉村家を愛している。横浜に降り立ったら必ず食べるらーめん。豚骨よりも醤油味が強くて香りがよい。噛み締めるとじゅわっと旨味の広がる、スモーキーなチャーシューも絶品。

辛味ねぎのトッピングは毎回必ず頼むようになった。ごはんの上にねぎと豆板醤を少量乗せた後、スープでひたひたにした海苔でくるっとそれらを巻き込んで食べる。思い出すだけで震える。

東京の家系なら、武道家が好き。

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こちらは豚骨の主張が強めで、とにかくこってりと重い。空腹のおなかを、ぱんぱんになるまで満たしてくれる。ディズニーシーの帰りに食べて、夢の国から一気に俗世間へと引き戻されたのが懐かしい。いや、ある意味こちらも夢の国かも。

鶏白湯を食べたい時

◆篝@銀座

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最近は鶏白湯におねつ。これも必ず白米をつけたい。篝は行列に並んででも食べたいなあと思えるお店。小料理屋のような洒落た店内と、これまた洒落た器、彩りのよいトッピング、そして黄色味がかったクリーミーなスープが麺にまったりと絡む。上品で繊細な面もちの鶏白湯。

中野のようすけも好き。

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こちらは篝よりも荒々しいイメージの鶏白湯。どろりと濃厚なスープに、しゃきしゃき玉ねぎのアクセントが効いている。最後の方、濃厚すぎてスープの味がよくわからなくなってきた頃に、レモンをこれでもかというほど絞り入れてさっぱりさせるのが楽しい。

徳島らーめんを食べたい時

◆JAC@高円寺

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JACで初めて、徳島ラーメンに出会った。少しとろみのある甘辛いスープ、脂ののった豚バラ肉、そして、生卵。これも白米は必須。(レポートも書いています

代々木の可成家も美味しい。白系が推しらしいのだけれど、私はいつも茶系を注文している。やっぱりこの、こってり甘辛が好き。

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本場の徳島ラーメンが食べたくて、去年は一人で徳島まで行ってきた。東大が一番、味が濃くて美味しかったな。スープとお肉の色がもう素敵。

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激辛麺を食べたい時

◆カラシビつけ麺 鬼金棒@神田

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辛いものが大好き。辛さに強いっていうわけじゃないのだけれど、顔を真っ赤にして「なんでこんな辛いものを頼んでしまったんだろう」と後悔しながらもお箸が止まらない。食べ終わると、すぐにまた食べたくなる。突き抜けた辛さを味わいたい時は、鬼金棒に行く。ここのつけ麺は、店名の通り唐辛子の辛さと花椒のしびれが際立っている。大抵、辛さ、しびれの両方とも増しで注文するのだけれど、あまりの辛さとしびれ具合に食べ終わる頃はぶるぶるしている。つけ汁をたっぷりと絡めとる太麺が、これまたなかなかに鬼畜で良い。最後の方は先っぽにつけ汁を少しだけつけていただく。パクチートッピングはいつも欠かさず。もりもり入っていて嬉しい。

辛い麺といえば、汁なし担々麺も大好き。一番好きな汁なしは、広島のすずらん亭。

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花椒を多めにしていただいた。あまり辛くなさそうな見た目だけれども、香りとしびれが鮮烈でぶるぶるした。上品な細麺。

東京だったら8月に行った阿吽かな。花椒の量が多すぎず少なすぎず絶妙で、ぶるぶるせず美味しくいただけた。激辛、というほどでもないけれど、旨辛い。

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あれ、「東京のおすすめ飲食店TOP5」じゃなくなっている。ご麺なさい。ちがう、ごめんなさい。


高尾山でIngress散歩

学生の頃は毎日毎日なにかに悩んでいて、どこか遠くへ逃げたいなあなんて思っていたけれど、最近は悩みなんて全然ないかもしれない。あえて挙げるとしたら、Ingressにはまりすぎていることかな。

Ingressを知ったのは先週のこと。アプリをiPhoneにインストールして、最初はよくわからないまま操作をしてみて、あまりにもわからないので攻略サイトをひと通り読んだ。今はレベル上げに夢中。夢中というより、必死。

Ingressはgoogleさんが提供している陣取りゲーム。面白いのは、ゲームが実際の世界と連動している、というところ。ユーザは町にある公園やモニュメントや建物までてくてく歩いていき、その場所にアプリ上でマーキングして勢力を拡大していく。世界中のユーザが、「レジスタンス」と「エンライテンド」のどちらかにわかれて、日々勢力争いに勤しんでいるのである。(ゲームの細かな説明は割愛する)

相手チームから楽に陣地を奪えるようになるためには、経験値をたくさん集めてレベルを上げなければならない。それなので、私は朝の通勤時間も夜帰宅する時も休日のお散歩でもずっとIngressを立ち上げてスマホの画面を凝視している。今まで本を読んだり勉強をしたりSNSをいじったりしていた時間が、すべてIngressのプレイ時間に塗り替えられた。これまで昼休みはプロントでのんびり過ごしていたのに、最近はさくっとラーメンを食べてから会社が入っているビル周辺を30分ぐらいふらふらと歩きまわってレベル上げをしたりしている。とんでもない時間泥棒。でもやめられない、やめられない…!

Ingressを初めてから歩行量が増えたのはよかった。少し健康体に近づけたかも知れない。巷には「Ingressダイエット」という言葉もあるらしい。ただのお散歩に目的ができるとなんだか嬉しい。

昨日は、お休みをいただいたので高尾山へ行ってきた。お昼過ぎにタンタンで八王子ラーメンを食べて、そこから電車で高尾山口駅へ。山を登り始めたのは16時近く。

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Ingressを開きながら、てくてく山を登る。一号路は自分のレベルでも奪える陣地がちょこちょこあった。立ち止まって、少し位置を調整して、攻撃をしかける。運行が終了したリフトのそばをうろうろ。とても怪しい。

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レジスタンス(青色)の勢力、結構拡大できたかなあ。まだまだレベルが低いのですぐに塗り替えられてしまいそうだけれど。

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そんなことをしていたら、だんだん辺りが暗くなってきた。1時間半程度で登れるはずだったのに、陣地への攻撃にかなり時間を費やしてしまった。日が落ちきるまでに山頂に登らなければ。もう周りには頂上を目指す人がほとんどいなくて、下山する人ばかりで少々心細い。圏外になったのでIngressも閉じて、走るようにして登った。

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山頂は、秋らしい景色が堪能できて素晴らしかった。運動不足すぎて途中くじけかけたけれど、諦めず登ってよかった。

夜が忍び寄ってきているので、あまり長居もできずいそいそと今きた道をくだりはじめる。木々が生い茂っていて暗い。そして私たちの他に誰もいない、だいぶ怖い。Ingressのせいでこんな目に…!と不当な憤り。

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でも、夜ならではのきれいな夜景も見えた。高尾山から夜景を望んだのは初めて。恐怖に打ち勝てれば、夜の高尾山登山もよいかも。

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夜ごはんは高尾山ビアマウントで食べ飲み放題。昔懐かしい雰囲気の中、まったりできて楽しかった。おなかははちきれんばかり。ビアマウントは来年もまたきたいな。

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気付いたら高尾山の話になっていた。とにかく最近の悩みは、Ingressが面白すぎて時間を大幅に持っていかれてしまっていること。でもレベル8になるまで、後しばらくは遊ぶかな。


あざやかな夏

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夏が来ると、「どきどき」が恋しくなる。近いようで遠い距離、どこに続くかわからない夜の道、手持ち花火のはじける音にかぶさるような波の音、熱帯夜に時折吹く風がそっと運んでくる夏の匂い。

冬は家にこもって部屋の隅で丸まっている私も、夏になれば裸で外に駆け出したくなる。日常を離れて、遠いところへ出かけたくなる。スーツを着て電車に乗り込みながら、隣の家族が引いているキャリーバッグにこっそりしがみついてどこかへ連れて行ってもらおうかしら、と思う。

夏の写真を見返すのが好き。暑さや、音や匂いの記憶、その日その瞬間の感情の記憶がありありと呼び起こされる。夏という季節は、そういった記憶がなぜか鮮明で、私の頭の中はいつだって夏の思い出でいっぱいなのだ。

暗闇の中、丘をひたすら上に登って、ひらけた場所から望んだ四日市の夜景。あやしく光る、無機質な工場。ありきたりだけれど、私の悲しみなんてちっぽけだと思った夜。

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京都の空に広がる、大きな入道雲。隙間から日差しがじりじりと照りつける。あまりの暑さに干からびてしまいそう。小さな椅子に、並んで腰かけた。

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足元もよく見えない夜の河原沿いを、皆で一列になって歩いた。暗闇の中、くるくると回した手持ち花火から色とりどりの光がこぼれる。

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これまでの自分と決別したくて、必死で歩を進めた一人旅。福岡の洒落た町並みに降る雨。家族へのお土産を探した朝の市場。

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熊本の寂れた公園。小雨が降る中、夢中で遊具の写真を撮った。

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愛媛へ向かう午前5時過ぎの朝焼け。しまなみ海道の澄んだ海、どこまでも続くブルーライン。足がぱんぱんになるほど、全速力でペダルを漕いだ。とても贅沢な、一人きりの80キロメートル。

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夜の海に浮かぶ厳島神社。弥山から眺める広い海。東京を出発してから一週間が経ち、「悲しいこと」が「かつて悲しかったこと」に変わり始めた去年の夏の終わり。

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今年大原で見た虹。大きく海の上にかかった。気がつけば、「かつて悲しかったこと」は「幸せなこと」で塗りつぶされていた。

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また来年、あざやかな夏の景色に出会えますように。しばらく、さようなら。